2026.02.12
2026.03.13
ひとりの被写体を、二つの温度で編む。
写真は、一瞬を切り取るもの。
けれど、写真集は“流れ”をつくることができる。
ページをめくるごとに、空気が変わり、距離が変わり、見えてくる表情が変わっていく。
今回aQ-studioが企画・マネジメントを担当した 天瀬あむ 1st写真集「表」「裏」 は、まさにその“流れ”を意識して設計したプロジェクトでした。
モデルは 天瀬あむ。
被写体としての魅力を一冊に閉じ込めるのではなく、
「表」と「裏」という二つの作品に分けることで、ひとりの中にある複数の温度を立ち上げること。
それが、この企画の出発点です。
「表」は、景色や光、その場に流れる空気感をすくい取るように。
「裏」は、もう少しだけ近く、もう少しだけ体温を感じる距離で。
同じ人物を撮っていても、構図、視線、間、余白によって、印象は大きく変わります。
だからこそ今回は、単なる別冊ではなく、対になる二冊として構成しました。


SNSでは、瞬間的に目を引く一枚が強い。
けれど写真集は、それだけでは成立しません。
必要なのは、見た人の中に残る“余韻”です。
今回のプロジェクトでは、
天瀬あむという存在の持つやわらかさ、透明感、そして少しだけ大人びた揺らぎを、
どうすれば一冊の中で自然に伝えられるかを丁寧に考えました。
「表」では、情景の中にいる彼女を見せること。
光や背景も“主役の一部”として扱いながら、
人物の輪郭を、風景とともに立ち上げていくことを意識しました。
一方の「裏」では、
景色よりも距離感、空気感よりも視線、
静けさの中にある緊張感や、少しだけ近づいた温度に重心を置いています。
二冊は対照的でありながら、断絶しているわけではありません。
むしろ、両方を通して見ることで、被写体の魅力がより立体的に感じられる。
それが今回の設計の核になっています。
今回の写真集には、各ページに天瀬あむ本人の手書きコメントを収録しました。
写真集は、ビジュアルだけで完結させることもできます。
しかし今回は、そこに“本人の言葉”を重ねることで、
ただ見るだけではなく、ページごとに気配を感じられる作品にしたいと考えました。
撮影時に何を思っていたのか。
どういう気持ちでその表情になったのか。
手書きの文字には、整いすぎたテキストでは出せない揺れがあります。

その揺れごと載せることが、
この写真集においては大切でした。
完成された写真の中に、少しだけ生っぽい言葉が差し込まれることで、
作品の温度がぐっと近づく。
その効果は、とても大きかったと感じています。
撮影・編集を担当したのは、奥出航介(Instagram)。(写真左)
光の扱い、空間の捉え方、被写体との距離の取り方。
どれも繊細でありながら、一本芯の通った視点があり、
今回の「表」「裏」という二つの世界を、それぞれ異なる温度でしっかり立ち上げていただきました。
寺島収 は Photo Assistant / Layout として参加。(写真右)
現場での撮影補助に加え、ページ全体の流れや見え方にも関わり、
写真集としてのリズムや読み心地を整える役割を担っています。
新保研人 は Photo Assistant として参加。(写真中央)
撮影現場を安定して支えながら、作品づくりの土台をつくる重要な役割を果たしました。
制作は Studio Benten。
撮影・編集・レイアウトを含め、作品としての質感を支えるクリエイティブチームとして、本企画を力強く支えていただきました。

そしてaQ-studioでは、永井拓人(株式会社aQ-studio・写真右) が Planning / Management を担当。
企画立案、商品の見せ方、単品・セットを含めた販売設計、紹介文や告知文など広報面の整理まで、
“作品をどう届けるか”までを含めて設計することを役割として担いました。

今回、aQ-studioが担ったのは、単なる進行管理ではありません。
写真集そのものの方向性を定め、
ビジュアル・言葉・販売導線をひとつの体験として統合することでした。
たとえば、
といった部分です。
クリエイティブは、つくることだけでは完結しません。
どう届くか、どう伝わるか、どう記憶に残るか。
そこまで設計してはじめて、作品は“作品”になります。
aQ-studioは、そうした制作と届け方のあいだをつなぐ役割を大切にしています。
Model
天瀬あむ
Photographs / Edit
奥出 航介 / Instagram
Photo Assistant / Layout
寺島 収
Photo Assistant
新保 研人
Production
Studio Benten
Planning / Management
永井 拓人(株式会社aQ-studio)
一人の被写体を、一冊で終わらせない。
“表”と“裏”という二つの視点を持ち込むことで、
見えるものも、伝わる空気も、残る印象も変わってくる。
今回のプロジェクトは、
写真そのものの魅力を引き出しながら、
それをどう編集し、どう届けるかまでを含めて形にした事例です。
aQ-studioでは今後も、
写真、デザイン、言葉、販売設計を横断しながら、
作品やブランドの魅力をより深く伝える企画・制作に取り組んでまいります。
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